摩擦黒皮症(まさつこくひしょう)とは
摩擦黒皮症(まさつこくひしょう)とは、皮膚がこすれ等の刺激でメラニン色素が沈着してしまい、シミのように黒ずんでしまう症状の事を言います。別名で「ナイロンタオル色素沈着症」とも呼ばれています。範囲の境界がはっきりとせず、褐色〜黒褐色の薄いモヤのような「しみ」が現れるのが特徴。
摩擦黒皮症は顏だけではなく体全体に現れる可能性があり、特に摩擦が起こりやすい骨が出っ張っている部分に発生するケースが多い。
女性に多いのが、サイズの合っていない下着の締め付けによるビキニラインの摩擦黒皮症です。サイズの合った下着や肌にやさしい柔らかい素材にするなど、心掛けることで予防することが可能です。
摩擦黒皮症の原因は?
摩擦黒皮症は、皮ふが、何かとこすれたり、ぶつかったりといった接触により、メラニン色素が生成されることで発生します。
一般的なシミとの違いは、メラニン色素が真皮層まで入り込んでしまい、黒ずみやシミを消すことはとても困難で改善までに時間が掛かってしまう点。白人や肌が白い方には発生しずらく、メラニンが多い方ほど出来やすいのも特徴の1つ。
摩擦黒皮症セルフチェック
一般的なシミとは違い、紫外線ではなく摩擦によって出来てしまう摩擦黒皮症。
存在がそこまで知られていないため、「なかなか消えないと思っていたら摩擦黒皮症だった」ということも。
まずは、セルフチェックをして確認してみましょう。
- 体を洗うときはナイロンタオルやボディブラシでゴシゴシ洗う
- 下着のサイズが合っていないと感じることがある
- 下着や衣服などのゴムの食い込む部分が黒ずんでいる
- ナイロンタオル・ボディブラシを長い間使用している
- 30代あたりから急に体のシミが増えた
- 背中や肩甲骨付近に黒ずみがある
2つ以上当てはまった方は摩擦黒皮症が発生しているかも。
1つでも当てはまっていれば摩擦黒皮症が発生しやすい体質である可能性が高いです。
摩擦黒皮症が背中にできるわけ
摩擦黒皮症が特にできやすい場所は、骨が出っ張っている部分です。
特に服などの摩擦の刺激を受けやすい、骨が出ている部分、背中や肘、くるぶし、鎖骨などの肌は、摩擦黒皮症になりやすいと言われています。
背中にシミができたら要注意
摩擦黒皮症は背中にできる事が一番多いといわれています。
環境皮膚学の論文では、 入浴時にナイロンタオルやスポンジ、ヘチマや健康ブラシといったボディウオッシュ系道具の利用によってできた色素沈着は51.7%にも上り、摩擦黒皮症の最も大きな原因と結論を出しています。
摩擦黒皮症は陰部にできやすい
摩擦黒皮症で悩む場所No.1は、実は陰部。
どうしても下着の擦れや、デニムジーンズなど服の擦れ、パンストの締め付けなど、皮膚が柔らかいのに、一番ダメージが酷い部分です。しかも、なかなか人に言い出せないし皮膚科を受診するのもためらわれがち。
摩擦黒皮症が顔にできたら
顔のシミが摩擦黒皮症の可能性はあります。
でも、顔なんてそんなに擦らないし…と思っていても、洗顔ブラシを使っていたり、洗顔後にタオルでゴシゴシ拭いて、メイク時も、スポンジやチップで肌を擦っていることも多いです。
顔のマッサージと言って、顔の皮膚をゴシゴシとしていることも。こうして意識してみると、顔も意外と刺激をうけていますよね。
摩擦黒皮症は目の周りに特にできる?
特に皮膚が弱いのが目の周りです。クマかと思っていたら摩擦黒皮症だったなんてことも。
顔のシミが大きくなったら摩擦黒皮症?
他のシミと摩擦黒皮症の見分けがつかない場合、摩擦黒皮症は広範囲にぼんやりと現れるので、顔のくすみが酷いなと思ったら、摩擦黒皮症かもしれません。皮膚科に相談してみるのがオススメ。
摩擦黒皮症とアトピー性皮膚炎
摩擦黒皮症とアトピー性皮膚炎は原因が異なるため、しみの種類としては別物です。
アトピーによる色素沈着は、皮膚炎を繰り返してしまうことが主な原因です。
アトピー性皮膚炎の人は、肌の皮脂が少ないため、水分保持機能も低く、乾燥しやすいのが特徴。そのため、皮ふのバリア機能が低下してしまい、外部刺激を受けやすくなってしまうので、皮膚を傷つけては治るといった、かゆみや炎症の繰り返し、反復によって色素が沈着して患部が黒ずみます。
摩擦黒皮症の治し方と予防方法
摩擦黒皮症はまず原因に対しての予防から始めることが重要。
予防をしつつ、シミを消す効果がある治療を行っていきましょう。
まず、摩擦黒皮症の予防法から。日ごろから肌に摩擦が起きないように気を付けることが重要です。
ナイロンタオルやサイズの合っていない下着を使っている場合は、それらを買い替え、肌に優しい製品を使用するようにしましょう。
原因を解消することで、黒皮症の悪化は避けられます。あとは時間をかけて治療していきます。
また、既にできてしまった摩擦黒皮症のシミを消したい時には美容外科や皮膚科に行くことを推奨します。効果的なシミを消す薬を処方してもらえるほか、しみ取りレーザー治療をしてくれる場合も。
摩擦黒皮症の治療法
摩擦黒皮症の治療には主に、トレチノインやハイドロキノンの外用剤が用いられます。トレチノインとハイドロキノンは併用するのが一般的です。治療には2〜3年かけてじっくり根気よく治していきます。
その他にもQスイッチYAGレーザー治療やトラネキサム酸・ビタミンの内服を処方されることも。皮膚科にて、自分に肌にあった治療法を相談されることをおススメします。
ハイドロキノン
ハイドロキノンとは、メラニン色素の生成を抑える働きと、メラニン色素をつくるメラノサイトを減少させる成分。シミを消す効果が高いため「肌の漂白剤」とも。
トレチノイン
トレチノインとは、ビタミンA(レチノール)の誘導体で、古い角質を剥がし、表皮の細胞を活性化させることで肌の再生を促し、メラニンの黒い色素ごと外へと出す効果があります。皮脂の分泌を抑える効果もあるのでニキビの治療にも用いられます。
QスイッチYAGレーザー治療
QスイッチYAGレーザーとは特定の色素に対して反応するレーザーです。しみ・あざの部分にレーザーを照射すると、ターゲットの色素のみをピンポイント破壊し、しみやあざを除去します。周辺の正常な皮膚組織へのダメージを最小限に抑えたレーザー治療。